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岐阜県現代陶芸美術館 ~ セラミックバレー美濃の文化創造の母胎 ~

 

岐阜県多治見市にある岐阜県現代陶芸美術館は、近現代の国内外の陶芸作品や産業陶器をコレクションとし、やきものの作品を紹介する美術館です。

古よりやきものの文化と産業が育まれたセラミックバレー美濃において、国際的なやきもののコンペティション「国際陶磁器展美濃」の第1回が開催されたのが1986年。それから3年ごとのトリエンナーレ形式で開催されて、今年9月30日より10月17日の会期で第12回目が開催されます。

当時、誰もが予想できなかった世界的な規模のやきもののコンペティションを、この地で開催できたのは、地域のやきもの文化を継承してきた美濃陶芸と、美濃焼産業の担った先人たちの、この地に対する熱い思いにほかありません。

 

そして、その催事に相応しい会場を望む地域の声により、セラミックパークMINOが建設され、その中に岐阜県現代陶芸美術館が開館しました。

以来、数々の企画展の開催を通して、焼きものの芸術作品や産業陶磁器のアート鑑賞の場として、やきものと観る人との膨大な対話を生みだしてきました。

 

さて、開館から間もなく20周年を迎える岐阜県現代陶芸美術館は、今、気軽に、楽しく、陶芸に接していただける「ぶらり立ち寄る美術館」を目指して新たな動きが始まっています。

 

まず展示企画では、近現代の現代陶芸という時代や分野のくくりから逸脱した作品が展示されることが増えてきました。

これによりやきものを柱としながらも、そこにデザインやファッションといった切り口を加えることで、従来の焼きものの好きな人びとに加え、新しい趣向の人びとの来館が増えました。

 

また、親子で参加できるワークショップや展示企画により、これまでの来場の少なかった若い家族世代を館内で見る機会が増えてきました。

そして、昨年の3月に美術館の入口近くに「木のあそび場」が誕生しました。

これは、木育を推進する岐阜県森林文化アカデミーの協力のもと、地域で研究されてきた木材の圧縮技術のお披露目も兼ねたものとなりました。

気持ちよい木のフローリングにシンプルなジムと小さな滑り台が設置されました。

ここでは親子で来館された方が、小さな子どもを遊ばせながら、ご夫婦で交代でアート鑑賞ができます。

また、美術館と森林文化アカデミー、施設全体を管理する公益財団法人セラミックパーク美濃の3者の協力のもと、「木のあそび場」近くで、ナイフを持って木を削ってみたり、大きな窓に思いっきり絵を描いてみたり、時には敷地内の山林に出て、そこでアート体験をするなど、美術館と豊かな自然環境を生かしたワークショップを開催してきました。

昨年から新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、思うように「木のあそび場」の活用やワークショップが開催できない時期が続いています。

コロナ禍の騒動が収まった後には、地域の文化、産業、教育など様々な人的ネットワークを活用し、地域の文化創造の母胎となるセラミックバレーの中核施設として、岐阜県現代陶芸美術館は、今、更なる期待を集めています。

 

機会がありましたら、ぜひ岐阜県現代陶芸美術館にぶらりお立ち寄りください。

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